会場を歩き回りながら、ひとりひとりの表情や仕草を見ていると、
いつも感じることがある。

私ですら、聞き入ってしまう瞬間ーーーーー

手紙を持って  緊張でガチガチに手を震わせながら、
大切な友のために 一つのエピソードを語る。
「もう、やばい…」
ふと顔を上げて新婦と目を合わせて
大粒の涙を拭う。
そんな一瞬が会場を一つにさせる。

新婦のお兄さんが   少し照れながら
エスコートに呼ばれて歩いている中、
「今日は最高だな。幸せだー」
と語ったとき、笑い声とうるっと涙で会場は包まれた。

 



たった一言のに、 なぜか胸に残る。
一方で、 耳に残らず流れていく言葉もある。



綺麗にまとめられていて、 話し方にもそつがない。
それでも、 シーンと静まった会場には どこか冷めた空気が流れる。
「おめでとう」
よりも どこか式典のような空気。
厳かなようで、形式ばったあの感覚。

私はふっと考えてしまう。

これは、 二人が本当に望んでいた空気なんだろうか。
それとも、 結婚式とは こういうものなんだろうか。
なぜこんなにも 届き方が違うんだろう。

私はこれまで
1200組以上の結婚式を見てきた。

その中で気づいたことがある。

祝辞やスピーチが届かないとき、
多くの場合、問題は
話し方ではない。

そこにあるのは
**「言葉のズレ」**なんだ。

言葉は、
同じ日本語でも
同じ意味で届くとは限らない。

結婚式で起きているこのことは、
きっと特別な出来事じゃない。

会社でも
夫婦でも
友人との会話でも。

「ちゃんと伝えたのに」

そう感じるとき、
そこに生まれているのが
小さな言葉のズレなんじゃないかな。